場末がありありと浮かぶとき

自転車の籠にはゴミが腐りかけ

着信音が間間透き通る

受話器の向こう側を無差別爆撃してる愉快なテロリストは教義も世界への絶望もない奴らだ

夕方にチャイムが夜を警告する下で子どもたちだけが無垢で賢しい笑顔を浮かべ、岸から岸へ自転車乗って揺らめきながら散ってゆく

音もなく宵闇が吹き迫り、空にはレイリー散乱が匂う

やおら街灯が道ばたに影をつくる

ペトリコールが鼻につく

解体工事は休憩中

黴と埃が夜の中に飲み込まれた場末を、街を彩る 

そこへ華を添えるは雨